ふぐ一尾、20~30秒!?下関・山西水産4代目が目指す「顔の見える魚屋」【かんもん企業紹介 No.01】
加工台に並ぶ、たくさんのふぐ。その前で包丁を握っているのは、熟練の職人ではなく、水産を学ぶ学生たちです。
慣れない手つきで刃を入れる学生のそばに立ち、一人ひとりの手元を見守っていたのが、山西水産の代表・山西 伸典(やまにし・しんすけ)さん。

学生向け講習が行われていた山西水産の加工場で、ふぐ加工の仕事と、4代目の山西さんが目指す「顔の見える魚屋」について聞きました。
新人は20分、熟練の職人は20〜30秒

新人が一尾に約20分かかる一方で、熟練した職人は20〜30秒。その速さだけを聞くと、迷いなく包丁を動かす職人技を想像します。

魚の状態を見極める。内臓を正しく確認する。身を傷めないよう包丁を入れる。そして、食べる人のもとへ安全に届けられる形へ仕上げる――。
20〜30秒という短い時間の中で、いくつもの判断を正確に重ねています。
1879年創業。下関で魚を扱い続ける

飲食店や百貨店などへ商品を卸すほか、現在はオンラインショップを通じて、一般の家庭にもふぐや魚を届けています。
「山西水産をひと言で説明するとしたら、『下関でふぐを売っている会社』になりますね」
そう話してふぐの仕入れや加工に携わる山西さんですが、加工場の外では、少し意外な姿も見せています。
ふぐ屋が、なぜYouTuberに?

加工場で学生の手元を見守る姿とは印象が異なりますが、この親しみやすい発信にも、山西さんが目指す魚屋の形が表れています。

山西さんが会社を継ぐため下関へ戻り、YouTubeでの発信を本格的に始めたのは2014年ごろ。
当初は魚種ごとのさばき方やおいしい食べ方を紹介しており、現在は下関の飲食店や地域のイベントにも題材を広げています。
画面越しであっても、「誰から買うのか」が分かる関係をつくることが、山西さんの目指す「顔の見える魚屋」につながっています。
ふく文化を、次の世代へ
山西さんの活動は、自社の商品を販売することだけにとどまりません。
2017年12月には、下関のふぐ業界を担う若手事業者と「下関ふく次世代ミーティング」を設立し、初代会長に就任しました。
若い世代に本場のふくを知ってもらうイベントや情報発信に取り組み、現在は、立場も業界も異なるメンバーとの定期的な情報共有を中心に活動しています。
山西水産の加工場で実施される「ふぐの捌き方講習」さらに山西さんは、ふぐを扱い、安全に届けられる人を増やすための活動も実施。水産大学校の学生に向けて行うふぐの処理講習は、2026年で3年目を迎えました。
学生たちは、内臓の確認方法や包丁の入れ方、作業の順番を学び、実際にふぐをさばきます。
講習は全3回。学生同士の声かけで参加者が広がり、20人以上の希望者が集まっています。試験前日の講習では、楽しみながらも真剣な表情で包丁を握る学生たちの姿がありました。
魚屋がシャボン玉ショーまで!?
さらに山西さんには、魚屋やYouTuberとは異なる一面も。
安岡地区まちづくり協議会の代議員として地域活動に関わるほか、2024年からは「シャボン玉屋やまちゃん」としてシャボン玉ショーも始めました。

動画で山西さんを知る人がいる。
イベントでふぐ帽子の姿を覚える人がいる。
講習をきっかけに、ふぐの仕事へ興味を持つ学生がいる。
そうした接点を通して、山西水産は単なる「魚を売る会社」ではなく、地域の中で顔の見える存在になっています。
次にふぐを食べるとき、思い出したいこと
山西水産の商品例ふぐと聞くと、刺身や鍋など、特別な日の料理を思い浮かべる人も多いかもしれません。
けれどふぐには、油で揚げて食べられる唐揚げや、焼いて楽しむ一汐干しなど、意外と手軽な楽しみ方も。
山西水産では家庭でも取り入れやすい商品を通して、ふぐを初めて食べる人にもその魅力を届けています。
一尾を20〜30秒で処理する熟練の技術も、最初から身についていたものではありません。安全に食べられる一皿の裏には、魚と向き合い、判断と経験を積み重ねてきた人たちの仕事があります。
次にふぐを味わうときは、その皿ができるまでの手仕事や、技術を次へ伝える人の姿にも、思いを巡らせたくなりました。
※記事の内容は2026年7月時点のものです。
基本情報・関連リンク
山西水産株式会社
所在地:山口県下関市安岡駅前2丁目4−30
事業内容:水産物の仲卸、ふぐ・一般魚の加工・販売
会社サイト:https://yamanishisuisan.mystrikingly.com/
オンラインショップ:https://yamanishi.theshop.jp/
公式YouTube:https://www.youtube.com/@shimofugu










