夢と現実について
前編では、「こどもの広場」の成り立ちと幅広い活動についてご紹介しました。後編では、現実的な問題にもふれようと思います。
たくさんのイベントも企画し、多くの人たちに絵本や児童書の素晴らしさを伝えている「こどもの広場」。ですが、夢はあるが現実も厳しい、と横山さんはおっしゃいます。
本が売れない時代、と言いますが、実際売上はネット販売などに押され減少しているそう。老舗の児童書専門店が閉店してしまったり、店舗に来て本を見ても、実際に購入するのはネットで、という人も少なくないのだとか。
しかし、本屋さんに足を運ぶ、ということにはとても大きな意味があります。こどもの広場では、子育てをしている母親スタッフがどんな相談にも応じてくれます。スタッフ全員がアドバイザーであり、こんな子にはどんな本が合うか?なども的確に答えてくださいます。
そしてこどもの広場の各コーナーも、スタッフさんたちがそれぞれの得意分野を活かして好きなことに力を発揮しているため、どの棚を見てもとても内容が充実しています。実際に足を運び、スタッフさんとお話するからこそ、求めていた運命の一冊に出会えるのです。
また、活字離れ、という言葉も聞きますが、ネットやゲームの普及により、本を読まない子どもたちも増えているそう。
心の逃避の場所として
人は、何もかも順風満帆とはいかず、大人になるまでに必ずつまずくことがあります。そんなとき、「本は逃げ場になる」と横山さんはおっしゃいます。
つらい状況から逃げたいとき、物理的に逃げることは難しくても、心は逃避することができます。
本の世界になら気軽に逃げ込める上、本なら読んでいて嫌になれば閉じてしまえばいいし、他の本に変えることだってできます。そんな“本”という救いがあるのに、本を読まない人にはその救いがないということ。
宝物にふれないままなのは、とてももったいない、と横山さん。やはり、子どもの頃に本を読み慣れていないとなかなか本に親しくなれないので、ぜひまずは親が意識を変えて、子どもが本に触れるチャンスをつくってほしい、と言います。
そんなチャンスがある場所が、こどもの広場です。年間3000点もの児童書が発売されるそうですが、そのすべてに目を通し、選書しているとのこと。
決して売れるものがいいものではないのに、ふつうの本屋さんに行けば、売れる本や流行しているものだけが分かりやすく平積みされていて、子どもたちは思惑に乗せられたり、翻弄されたりしてしまいます。
その点こどもの広場では、押し付けでなく、どんな子どもが読んでも面白い本を厳選しているため、どれを選んでも間違いない!という本しか置いていないそう。
子どもは気に入った本は何度も繰り返し読みたがるので、子どもの本は図書館などで借りるのではなく、ぜひ購入してほしいそう。
毎月一冊でもいいから購入して、子どもの本棚をつくる。それだけで、本が身近になり、子どもの頃から本が大好きになる。
「本は逃げられる場所であっていい」。絵本は古びないので、きっと大人になっても、ふとしたときに子どもの頃に読んだ本に救われたりするのだと思います。
こどもの広場では、本が読み放題、何時間でも居放題! 靴を脱いであがるので、家のようにくつろげますよ。もちろん大人も気軽に訪れてほしいそうです。
じっくり手に触れて読み耽っているうちに、離れがたいお気に入りの本を見つけて、きっと一緒に連れて帰りたくなるはず。
こどもの広場でたくさんの本と出会って、ぜひあなたの本棚に仲間入りしてあげてください☆